« 3月1日と言えば | トップページ | 読書週間 »

2010-03-04

オランダ市議会選挙

昨日、3月3日はオランダの全国統一市議会選挙だった。全国431地方自治体gemeenteのうち、昨年冬に実施済みの自治体を除いた、394自治体が4年に1度の改選を行った。日本の地方議会選挙とは制度面でだいぶ異なる。

【投票日】日本では選挙と言えば日曜日が慣例だが、昨日は水曜日。町は普通に機能していたので、休日になるということでもない。投票率は50%強。

【投票時間】平日ということもあり、朝7:30から夜21:00まで投票所が開いている。ただし、いくつかの投票所は、なんと投票日の0:00から投票可能。そのうちの1つがフローニンゲンにあった。

Nachttien普通の大学生にとっては今回が選挙権を獲得してから初めての選挙となるため、学生の町であるフローニンゲンでは、市も協力して、"Nachattien"というイベントを投票日前日の夜から開催している。

Nacht(夜) + Achttien(18)ということで、18歳以上の若者向けの選挙前夜祭。場所は市の劇場である。DJが来てクラブのようになった劇場が、24:00を迎えると投票所になる(もっとも、イベントは続いているので、投票場所は別の部屋だろうが)。目的は、若者に投票してもらうことなので、それを誘導するために、フローニンゲン市の投票権を持った18-22歳の人は入場無料としている。それ以外の人は有料。

【選挙権】日本では外国人地方参政権についての議論が盛り上がっているが、オランダでは、市議会選挙については一部の外国人も投票権がある。年齢は18歳以上で、(1)オランダ国民のほか、(2)EU加盟国民、そして、(3)オランダに5年以上継続して(合法的に)滞在している者にも投票権が与えられる。ちなみに、国政選挙の投票権は18歳以上のオランダ国民のみであり、被選挙権も国・地方ともに18歳以上のオランダ国民のみである。

【選挙活動】日本では、選挙カーに乗った立候補者が市内を走り回るのだが、オランダではそのような光景はほとんど見られない。選挙ポスターや、スーパーなどが並ぶ町中でビラを配る人は見かけるが、選挙カーやマイクを使った活動は禁止されているのかもしれない。

Verkiezing1
比較的自由な感じの掲示板。この裏にもポスターが貼られていたりする。左上は赤鉛筆。オランダの投票は赤鉛筆でチェックするらしい。投票ボタンも導入されたらしいが、不正行為やプライバシーの問題などがあり、赤鉛筆に戻っている。

Verkiezing2
オランダらしい広告媒体。大学の駐輪場に一斉にかぶせられた赤いサドルカバーは、ある政党の宣伝用のもの。選挙活動に限らずたまに広告入りのカバーが勝手にかぶせられている。私のサドルはひびが入っているので、サドルカバーはありがたい。

【投票支援ツール】市議会選挙では、政党ごとの立候補者名簿が並んだ投票用紙から、1人を選んで投票することになっている。特定の立候補者を選ばない限り、投票したい政党の名簿順位1位の人にチェックを入れるらしいので、実質的には比例制で政党を選ぶのに近い。ということで、市民は何十人もの政策を比べる必要はなく、政党ごとのマニフェストを読むなどしてどの政党に投票するかを決めればよい。国レベルの政党もあれば、地方のみで活動している政党もある。

それでも、フローニンゲン市には11の政党があり、チラシなどですべての政党の政策に目を通すのは大変である。そのため、いくつかの自治体で導入されたのが、Stemwijzerである。投票のためのガイド(ポインタあるいはカーソル)という意味で、30項目の政策に賛成か反対を選ぶと、その選択がどれだけ各政党の政策と合致しているかを計算してくれる(個別の項目について、回答しない、あるいは計算から除外することも可能)。

http://www.stemwijzer.nl/

Stemwijzer
30項目にランダムに回答した後の計算結果画面。各政党の政策との合致割合を降順で示している。ちなみに、たまたま一番合致しているとされたのは、フローニンゲンの地方政党Student en Stad(学生と市)。

質問項目は、もちろん市のローカルなテーマで、例えば市内にトラムを走らせること、市職員の削減、月1回の営業可能日曜日の増加など。これを読むだけで、自治体の抱えている問題がある程度分かって面白いので、次回にでも興味深い項目を挙げてみようと思う。

さて、このStemwijzerの重要な点は、すべての政党が参加しているということである。日本の国政選や地方首長選でも、こうしたツールを導入すれば、市民の関心が高まるだろう。

開票作業は完了していないが、VVDとD66というリベラル系の2政党が大きく議席を伸ばした一方で、連立政権を組んでいたPvdA、CDA、CUは軒並み議席を減らすという結果になった。全国の市議会の合計議席数がこれまで最多だったPvdAは約1/3を失い、CDAが最多議席、VVDがそれに次ぐことになった。

現在、オランダの政局は混沌としており、2月20日にPvdA(労働党)がアフガニスタンへの派兵延長の是非を巡って連立政権を離脱、残った2党では過半数を維持できないために暫定政権となっていて、6月上旬に総選挙が行われる。

|

« 3月1日と言えば | トップページ | 読書週間 »

日常生活」カテゴリの記事

雑学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1080278/33635199

この記事へのトラックバック一覧です: オランダ市議会選挙:

« 3月1日と言えば | トップページ | 読書週間 »