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2009-04-19

ヴェリブでパリの車は減るのか?

久しぶりにブログを書く。授業を受けていたときと違って、朝から夕方までオフィスにいて、帰ってから食事を済ませるともう1日が終わってしまう。朝は8時~8時半には出勤するようにしているので、あまり夜更かしもできない。

さて、試験が終わりパリに戻ってきたら、家の目の前にヴェリブVélib'のステーションができていた。

Velib1

ヴェリブとは、パリのレンタサイクルシステムのこと。フランス語の情報を理解するのはさすがに無理なので、まずは日本語のWikipediaなどから情報を取ってみる。

運用開始は2007年7月ということで、まもなく2年になる。背景としては、自動車に起因するパリの大気汚染問題を解決するために、パリ市長がパリ市内の自動車交通量を2020年に40%削減するという目標を掲げており、その施策の1つとして自動車から自転車への交通手段のシフトを促進しようとしているようである。

40%がいつと比べてという情報を書こうとしたが、どこにも見当たらない。市長就任時からだとすれば2001年比ということになるが、明確にそう書いている日本語のウェブページが無かったため、フランス語のページを当たってみる。

結局、パリ市のprojet de Plan de Déplacements de Paris(パリの置換計画(PDP)プロジェクト)の2007年2月の議会説明資料にたどりついた。URLはこちら(30MB)だが、これによると、2020年に2001年比で平日7時~21時の自動車の交通量(台/km/時)を40%削減するとなっている。これが最終的に議会で承認されたのかは分からないが。

このヴェリブ、仕組みがなかなかおもしろい。最大の特徴は、システムのコストは税金ではなく民間企業が負担していること。JC Decaux(JCドゥコー)という広告代理店が、パリ市内の路上広告設備を管理する権利と引き換えに、システムの運用を行う。さらに、広告設備の使用料は、公共施設を所有する自治体の収入になる。

JCDecauxはアムステルダムでもおなじみで、バス停(屋根付きのシェルター)に広告スペースを設けて、その維持管理サービスを行っている。もちろん、街中の広告塔の設置・維持管理もやっているようである。

自治体の収入という点では、日本ではバスのラッピング広告がかなり普及してきた。いずれも自治体・市民にとっては景観上の問題とのトレードオフであるが、このヴェリブはレンタサイクルシステムが無償で提供されるので、市民の理解を得るのはより容易だと思われる。

続いて、ヴェリブ設置の現状について。JC Decauxの日本法人MC Decauxによると、昨年8月の時点で、

20,600台のセルフサービス自転車
1,451のステーションをパリ市全域の300メートルごとに設置
27,500,000 人の利用者(サービス開始1年の実績)
(出典) http://www.mcdecaux.co.jp/mcd/pdf/velib%201year%20celebration.pdf

とのこと。私の住んでいるのはパリ市の隣、ブーローニュ=ビヤンクールだが、ここにも既に21のステーションが設置されているので、上の数字はもっと大きくなっているのではないかと思われる。

利用方法もおもしろい。24時間365日利用可能で、どこのステーションに返してもよい。登録料は、年間29ユーロ、1週間5ユーロ、1日1ユーロ。年間パスは申込みが必要だが、1週間・1日の場合はステーションの端末でクレジットカードを使って支払うことができるので、観光客でも気軽に使える。

Velib2
ステーションごとに設置されている端末・ボルヌBorne

年間29ユーロであれば、そもそも自転車を買う必要がないということになってしまうが、この登録料で使えるのは、最初の30分だけ。ただし、1日30分ではなく、「1回30分」である。つまり、30分以内に次のステーションで乗り継げば、もう30分追加料金なしで乗ることができる。

31分から60分までは利用料1ユーロ、61分から90分までは更に2ユーロ(合計3ユーロ)、以後30分ごとに4ユーロとなっている。2時間乗ると7ユーロ、24時間後に返すと183ユーロという計算になるが、おそらく上限は保証金とされている150ユーロだと思われる。メトロ・トラム・バスのチケットが1.60ユーロであることを考えると、利用料は決して安くなく、普通は30分以内に返却されているのだろう。

こうした利用料金システムにより、短時間で返却されることから、自転車の回転率が高まり、多くの人が効率的に利用できることになる。

乗ったことのある人の話をほとんど聞いたことがないのだが、たまに故障・パンク車両があると聞く。管理会社は定期的に巡回して、車両の修理も行っているそうである。

想定される問題点の1つとして、車両の偏りがある。つまり、乗る人が少なく、降りる人が多いステーションは満車になってしまい、返却ができなくなってしまう。その反対の場合は、ステーションが空っぽで自転車がレンタルできない。こうした課題についても、定期巡回で自転車の多いステーションから少ないステーションに自転車を運搬して対処しているとのこと。

世界的な大都市パリでも、こうして2年近く運用されているということは、今後世界的に拡大する可能性がある。しかし、ヴェリブ導入の目的である、自動車交通量の大幅削減(自動車から自転車へのシフト)につながっているのかという点についての検証がなされなければ、このシステムが「成功」したと結論付けることはできないはずである。単にメトロの利用者が自転車を使っているだけでは、通勤電車の混雑緩和にしかならないのだから。

そのうち乗ってみて、乗り心地をレポートしますbicycle

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